Pages

Sunday, January 30, 2022

物ダイエットを家族に急かされて、倉庫の古本… - 八重山毎日オンライン

 物ダイエットを家族に急かされて、倉庫の古本の処分を始めている▼中に大正12年から昭和の初めに出版された改造社の日本文学全集がある。1円前払いの予約出版で今はやりの通販の走り。これを考え付いた人の着想は卓抜。宣伝文句も秀逸でこれでは申しこまずにはいられない。全国から注文が殺到したという▼ページ数が500余、活字は3段組、しかも全てルビ(よみがな)が振ってある。以下宣伝文句の抜粋。②一冊総額1000円相当のものがたったの1円⑤明治、大正の不朽の名作ことごとく集まる(確かに作家によっては、ほとんどの著作が収録されている)。結びがすごい⑧本全集があれば一生退屈しない▼わが家の物は、40数年前神田神保町の古本屋で買い集めたもの。全62巻がそろわず、読んでないのも多いが処分となると「もったいない、惜しい」が先立つ▼ページをめくると、初めて目にし覚えたあの漢字、あの言葉が飛び交う。本は重く手触りが何とも言えない。ぼろ本ではあるが表紙は布張りで型押し、きれいに断裁された本の天頂部は金が塗られている▼いざ捨てるとなると考え込んでしまう。そこで数冊残して後は家族に廃棄を頼んだ。資源ごみの回収日、家族や隣近所の目を盗み、本の束から数冊取り戻すスリルはまた格別な楽しみ。(仲間清隆)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 物ダイエットを家族に急かされて、倉庫の古本… - 八重山毎日オンライン )
https://ift.tt/i20BTweIR

No comments:

Post a Comment