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Wednesday, August 25, 2021

イカとじゃがいもの“コトコトしない”洋風煮込み - 朝日新聞社

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は旬のシロイカを使ったお料理。短時間でさっと作れる煮込み料理をご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。引き続き暑くて、最近は極力火を使わない料理ばかり作っています……。

冷水 暑い季節の“お料理あるある”ですね(笑)。

―― でも、冷たい料理ばっかり食べていると、やっぱりどこか物足りないというか。たまにはあたたかいメニューも食べたいんですよね……。

冷水 悩ましい問題です。

―― 今回は私からのリクエストで恐縮ですが、暑い季節でも短時間でさっと作れる煮込み料理なんていうわがままなメニューはないものでしょうか?

冷水 煮込み!! たしかに炒めものは火力が必要ですから短時間でも暑いですものね。

―― そうなんです~!

冷水 じゃあ今日は必殺の“軽い煮込み”料理を伝授しましょう。

―― “軽い煮込み”!? なんだかプロっぽい響きです(笑)。

イカの皮をむくときはペーパータオルを使って。滑り止めになって、スムーズに作業できます
イカの皮をむくときはペーパータオルを使って。滑り止めになって、スムーズに作業できます

冷水 ふふふ。でもすごく簡単なんですよ。煮込み料理は調理中べったりとお鍋に張り付いていなくてもいいので、じつはそこまで暑くないんです。

―― たしかにそうですね。しかも“軽い”なんて、最高じゃないですか!

冷水 今日は旬のイカを使いましょうね。今回はシロイカを使いますが、スルメイカでもなんでも、手に入るもので大丈夫です。

―― イカですか……。

冷水 あら、あからさまにテンションが下がっていますが、もしかして下処理に苦手意識がありますか?

―― 図星です。

冷水 じゃあ今日は下処理からやってみましょう。まずは胴体から内臓を引き抜いて、くちばしがある時はそれも取りましょう。あとは皮をむくだけですよ。

―― 皮がうまく剥(は)がれないんですよね……。

ヌメリのあるげそは軽く塩もみを。その後、流水で洗い流します
ヌメリのあるげそは軽く塩もみを。その後、流水で洗い流します

冷水 皮を引っ張る方の手にペーパータオルを持ってやると滑り止めになってやりやすいですよ。

―― わ、本当だ!

冷水 あとは新鮮なイカを選ぶことも大切です。新鮮なほど皮はツルッとむけますから。あくまで私感ですが。

―― たしかに今日のイカは本当につるんっとむけました。

冷水 胴体は2cm程度の輪切りにします。げそもおいしいのでぜひ使って欲しいのですが、少しヌメリがあるので、塩もみしてから流水で洗い流します。両方とも下処理が終わったら白ワインをかけて臭みをとります。

じゃがいもは7mm程度にスライスして20分ほど煮込むと軟らかくなります
じゃがいもは7mm程度にスライスして20分ほど煮込むと軟らかくなります

―― そんな技があるんですね! ところで、和食の煮込みの場合は皮は残して調理することもありますが、今日は皮をむくんですね。

冷水 皮はうまみがあるので、お好みで残してもいいかと思いますが、火を入れるとどうしても硬くなってしまうんです。今日は軽やかに食べていただきたいので、皮なしにしました。あと仕上がりの色みも変わるので、その辺りも考慮して決めてください。

―― 皮があると赤っぽくなってしまいますものね。

冷水 はい、今日は鮮やかな緑のパセリソースを添えるので、イカは白い方がきれいかなと思います。

―― お料理の最終形を考えて調理するのも大切ですね。

冷水 次にじゃがいもの準備です。7mmくらいの厚さにスライスすると火が通りやすいです。

―― じゃがいもの種類は……、男爵ですか?

冷水 はい。でもこれもお好みで、ほくほくした感じがいいなら男爵、ねっとりした感じがいいならメークインなど、どんな種類でも大丈夫です。今日のお料理は多少煮崩れしても問題ないので。

―― 私はねっとり好きのメークイン派です。

フレッシュパセリを使ったオイルソース。余ったら蒸し魚などに添えてもおいしいですよ
フレッシュパセリを使ったオイルソース。余ったら蒸し魚などに添えてもおいしいですよ

冷水 じゃあまずはじゃがいもから調理します。水とにんにく、EXVオリーブオイルを入れた鍋に入れて20分ほど煮ます。

―― イカはまだですか?

冷水 イカはすぐに火が通るので、最後の最後に投入します。じゃがいもに火が通るまでの間にパセリソースを作りましょう。ソースといっても、みじん切りにしたパセリにオリーブオイルを加えるだけです。

―― なんと簡単な!

冷水 パセリはそれだけで香り高いので、十分おいしいんです。オリーブオイルもぜひ風味のいい、フレッシュなものを使ってください。

―― グリーンが鮮やかです!

冷水 さて、じゃがいもが軟らかくなったので、イカを加えましょう。イカを入れたら30秒ほどで火を消します。

―― さ、30秒!?

冷水 はい、あとは余熱で火を入れます。お刺し身用のイカなので、少しレアな感じでも大丈夫です。あとは器に盛って、パセリソースをかければ完成です。

―― わ~、純白のイカとパセリのグリーンのコントラストが美しいです~。皮をむいて正解ですね!

冷水 イカの食感、どうですか?

―― 火を通したイカを簡単に噛(か)み切れるなんて、驚きです。すごく軟らかくて感動です。調味料がシンプルな分、素材の味がしっかりと感じられます。“軽い煮込み”って、「軽く煮込む」ことに加えて、食べ心地も軽やかという意味もあるんですね。

冷水 よく冷やした白ワインと一緒に食べると、夏の煮込みも悪くないなって思いませんか?

―― 異議なしです! 夏の煮込み、これから定番になりそうです。

イカとじゃがいもの軽い煮込み パセリソース

材料(2人分)

  • イカ

    1杯

  • じゃがいも

    2個

  • 150ml

  • EXVオリーブオイル

    大さじ1

  • 少々

  • 白ワイン

    大さじ1

  • にんにく

    1/2片

  • パセリ

    5本ほど

  • ひとつまみ

  • EXVオリーブオイル

    適量

作り方

  • 下処理をしたイカを2cm幅の輪切りにし、白ワインをかけておく。げそは食べやすい大きさに切り、塩もみをして流水で洗い流す。じゃがいもは皮をむいて7mm程度にスライスする。
  • 鍋に1.のじゃがいもと水、半割にして芯を取ったにんにく、EXVオリーブオイル大さじ1を入れて火にかける。沸いたら弱火にし、軽くふたをずらして15~20分ほど煮る。
  • じゃがいもが軟らかくなったら塩で味を調える。1.のイカを入れてふたをし、30秒ほど蒸らし炒める。その後は火を消し余熱で火を通す。
  • ボウルにみじん切りにしたパセリの葉と塩ひとつまみを入れ、EXVオリーブオイルをひたひたに加える。3.を皿に盛り付けてからパセリソースをたらす。

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