新型コロナウイルスに感染する子どもの急増で、各地の小児科医らが対応に追われている。東京都内の小児科の発熱外来を訪れると、子どもたちが次々と検査で陽性になっていく実態に直面した。(池田悌一)
◆自宅待機となる母「仕事どうしよう…」
8日午後、港区の小児科「クリニックばんびぃに」。時田章史院長に「ちょっと苦しいかもしれませんが我慢して」と医療用マスクを渡され、さらに防護服と防護キャップ、ゴム手袋、フェースシールドを着けるよう指示された。確かに息苦しい。
最初の患者は、保育園に通う男児(5)。連れ添った母親(44)が「この子、今朝から38度の熱があるんです。保育園で感染者が出ているので心配で…」と不安そうな表情を浮かべた。
時田院長が「じゃあ、検査をしましょう」と抗原検査キットを用意し、綿棒を男児の鼻の奥に入れる。「うわーん」と大きな泣き声。約10分後、マーカーに陽性を示す赤い線がくっきりと浮かび上がった。
隔離部屋から診察室に呼ばれた母親は、陽性と告げられると「え?」と絶句。時田院長は男児には10日間の療養が必要で、母親も濃厚接触者にあたる可能性が高く7日間は自宅待機になると説明した。「子どもは大半が風邪と同じような軽い症状。2日以内に治まることがほとんどですよ」と語りかけた。
母親は診察後の取材に「明日から仕事どうしよう」と声を落とした。夫(47)とは共働き。この日は、上司に「子どもの熱くらいで休まれたら回らない」と言われ、勤務後に小児科を訪れたという。「もし私も感染していたら、長く休まなきゃいけなくなる。言い出しにくいな」と漏らした。
◆「体調が少しでも悪かったら学校や習い事は休んで」
そうしている間も、発熱を訴える患者が相次ぎ、看護師らが診察室と待合室を小走りで行き交う。通っている幼稚園で感染者が確認された女児(6)も抗原検査で陽性に。「私、コロナなの?」と泣きだしそうな顔になり、父親が「大丈夫だから」となだめていた。
一方、抗原検査で陰性になった中学生の女子生徒(14)は、ぜんそくの持病があった。基礎疾患のある人は重症化する恐れがあり、時田院長はより精度の高いPCR検査も実施することに。院内の検査機に検体を入れると、約1時間後に改めて陰性が確認された。
厚生労働省によると、5日までの1週間に感染した全国の10歳未満は10万人あたり約800人。全世代で最も高い割合になっている。
時田院長は「今年に入ってから、ずっとこんな感じですよ」と話す。今は検査した3人に1人程度が陽性になっているという。
時田院長は「4日以上の高熱が続くようなら注意が必要だが、過度に心配することはない」と指摘。「マスク着用や手洗いを徹底し、体調が少しでも悪かったら学校や習い事は休む。感染を広げないための基本的な対策を続けることが大切です」と強調した。
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