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Thursday, January 6, 2022

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新車試乗レポート [2022.01.06 UP]

【試乗レポート マツダ CX-5】乗ればわかる確かな進化。注目のフィールドジャーニーは?

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 まるでタイヤをコンフォートタイプに替えたかのよう。乗り心地に落ち着きが増し、乗り味が快適になった。……それがマイナーチェンジを受けて新しくなったCX-5の率直な印象です。

 CX-5の今回のマイナーチェンジはデザインの変更や新グレードが大きな話題となっていますが、実はメカニズムもブラッシュアップ。確かに、動的性能の進化は派手なものでなありません。しかし、試乗してみると「より良いクルマを作ろう」という開発陣の意気込みがひしひしと感じられるものでした。

マイナーチェンジによる進化をCX-5オーナーの筆者がレポート

マイナーチェンジ前のモデル(左)と新型CX-5(右)

 そんな動的インプレッションに入る前に、まずは今回のマイナーチェンジのポイントを整理しておきましょう。

  • ●前後の意匠を変更しスタイリングデザインのリフレッシュ
  • ●新スタイル「フィールドジャーニー」「スポーツアピアランス」の提案
  • ●最上級仕様「エクスクルーシブモード」の更なるプレミアム化
  • ●ガソリンターボエンジンの廃止。パワートレインは2.2Lとディーゼルと2.0L&2.5L自然吸気ガソリンに
  • ●床下収納の拡大と上下調整式フロアの採用による荷室の使い勝手の向上
  • ●車体構造のブラッシュアップ

 詳細は前回の紹介記事を参照していただくとして、今回は走りに関わる「走行機能関連のブラッシュアップ」に注目してみましょう。

マツダ CX-5

 マツダといえば運転者目線のドライビングプレジャーを語ることが多いのですが、今回のマイナーチェンジに関する資料を見るとそのあたりには全く触れていないのだから正直なところ意外な展開。動的性能は「クルマとの一体感のある、同乗者にもストレスのない快適性」をメインテーマとし「ピッチ挙動(前後に揺さぶれる挙動)の低減」と「ツブザラ路面(表面がザラザラの舗装路)での質感向上」に注力したのだそうです。

 進化ポイントを具体的にいえば「快適な乗り心地」「一体感を感じる操安性・シート」「静粛性向上」とのこと。

それぞれ内容をみると、快適な乗り心地はフラットライド感を高めるためにフロントサスペンションのバネレートをアップすると同時にダンパーの伸び側を柔らかく。フロントシートは脊髄をしっかりと保持する構造とするとともに、シートと車体を結合する部分の剛性を高めることでシートの揺れを抑制。そして車体底面で左右を繋ぐ補強材に減衰構造(樹脂と接着剤が振動エネルギーを吸収して熱として放出する)によりザラザラ路面で発生する細かい振動と音(乗員が感じ取れないほど高周波域)を抑制。乗り心地をよくし、快適性を高め、高周波域のノイズ低減によって疲労も減らそうというわけです。

その効果は本当に感じられるのか?

 気になるのはやっぱりそこ。筆者はCX-5オーナーなのでその評価には一過言あると自負していますが“違いはしっかり感じられた”ことを報告しておきましょう。

 どう違うかといえば、従来に比べて乗り心地から「カド」が取れました。いわゆる「アタリが柔らかくなった」という状況といっていいでしょう。道路の段差などで衝撃を受けた際に、かりんとうをかじる歯ごたえのうように「ガン!」と硬いのではなく、同じお菓子でもマシュマロのようにマイルドに伝えるようになった、ということです(例はわかりやすいよう極端に説明したのでさすがにそこまでは違いませんが)。

 そんな乗り味は、前席よりも後席のほうが分かりやすい印象。だから、ドライバーよりも同乗する人のほうがより実感できるかもですね。

 CX-5も含めてマツダ車は「カドが硬い乗り味」と言われることが多いので、今回の進化は歓迎できる人が多いことでしょう。

 というわけで冒頭の話に戻りますが、今回の乗り味の変化はまるでタイヤをコンフォートタイヤに履き替えたかのような変化でした。

 そこで走行面を開発した担当者に「タイヤを変更したのですか?」と尋ねてみたところ、戻ってきた答えは「以前と同じものです」とのこと。タイヤをコンフォートなタイプに履き替えたかと思うほどの進化って、なかなかですよ。

デザインだけでなく走りもオフロード的にセッティングされたフィールドジャーニー

CX-5 フィールドジャーニー

 実は、そんな最新CX-5のなかでも例外的に以前とは異なるタイヤを履いている仕様もあります。それが話題のグレード「フィールドジャーニー」。他のグレードとは異なり、オールシーズンタイヤを履いているのです。

 オールシーズンタイヤとは、一般的なノーマルタイヤ(サマータイヤ)に比べて舗装路での性能を控えめとするかわりに適応できる路面が広く、「M+S(マッド・アンド・スノー)」と表記されることからもわかるように非舗装やちょっとした雪などでも走れるもの。フィールドジャーにはアクティブな仕立てのグレードなので、キャンプ場などにあるダート路面でもスリップしにくいようにというわけですね。

 実はこのタイヤは、北米向けのCX-5に装着されているもの。つまりオールシーズンタイヤといえども市販品そのままではなく、CX-5専用に仕立てられたものです。

その印象はどうか?

 ハッキリ言いましょう。乗り心地はこれがベスト。やはり乗り心地が柔らかく、他のグレードよりももっともっとカドが取れた衝撃のいなし方で快適です。

 17インチという(19インチに比べれば)乗り心地に有利なサイズなのか、それともオールシーズンという特性上ゴム質がやわらかいからなのか。おそらく両方でしょう。

そうなると、ハンドリングも違います。もうハンドルを切りはじめるその瞬間から違っていて、直進状態から切り始めの反応がマイルド。それだけでなく、首都高くらいの中速域でも曲がり方からシャープさが控えめとなり、穏やかな印象です。キビキビとした挙動を求めるならマイナスですが、このくらいがいいと感じる人もいるかもしれませんね。

 運転している時は、そんな他のグレードとの違いはタイヤの特性によるものと考えていたのですが……開発者から答え合わせのように話を聞いて驚き。タイヤの違いももちろんあるものの、それにあわせてダンパーなどサスペンションの味付けを変え、パワーステアリングも専用の制御としているのだとか。手が込んでいますね、マツダ。

 手が込んでいるといえば、このフィールドジャーニーは後輪へより素早く大きなトルクを送れるように4WDシステム構造の一部も他のグレードとは異なり、タイヤの空転を防ぐ電子制御なども凝ったものに。見た目だけでなく悪路走破性も違うのです。

 そんな最新CX-5。実際に試乗してみたら、フィールドジャーニーはもちろんすべてのグレードにおいて「しっかり進化して完成度が高まった」と断言できる乗り味でした。どのグレードを選んでも従来モデルよりも乗り心地が良くなっているから、ファミリー層から大きく喜ばれるのではないでしょうか。

マツダ CX-5 25S エクスクルーシブモード(6速AT)

  • ■全長×全幅×全高:4575×1845×1690mm
  • ■ホイールベース:2700mm
  • ■車両重量:1650kg
  • ■エンジン:直4DOHC
  • ■総排気量:2488cc
  • ■最高出力:190ps/6000rpm
  • ■最大トルク:25.7kgm/4000rpm
  • ■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
  • ■タイヤ前後:225/55R19
  • ■新車価格:267万8500円-375万6500円(ゴルフ TDI Rライン)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2021-2022日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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