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Friday, April 23, 2021

乱高下のドージコイン、笑い事で済まない可能性も - Wall Street Journal

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

 ドージコインは冗談から始まった暗号資産(仮想通貨)だが、20日には一時、時価総額が540億ドル(約5兆8000億円)に達した。これは市場全体がブレーキの利かない過熱局面に入った兆候なのか? 筆者の答えは、厳密にはノーだ。だが少し注釈をつける必要がある。

 説明の前に「冗談」について断っておく。真面目な人がドージコインに言及する際、これはパロディーとして作られ、その当時は新しい仮想通貨が何十種類も考案されたと指摘する。確かにその通りだが、だからといって障害にはならない。もし有益なものなら、作者の意図にひるむ必要はない。

 米国で初めて公職に選出された女性は、悪ふざけで指名されたことがきっかけだった。フェイスブックは、マーク・ザッカーバーグ氏がハーバード大時代に酔った勢いで立ち上げた「フェイスマッシュ」が始まり。女子学生の容姿をランク付けするサイトだった。もし作者の意図が重要なら、ビットコインは完全なる失敗だろう。少額のオンライン決済のために考え出されたのだから。それが今や買い占められ、投機に利用されている。

 ドージコインはある種の――オンライン掲示板「レディット」に面白いコメントや有益な情報を投稿したユーザーにチップを渡すなどの――用途を見つけた。そして現状をみる限り、基本的に申し分のない暗号資産だ。

 だがそれが価値を裏付けるわけではない。笑いながら冗談半分でドージコインを買う人が大勢を占める一方、値動きに賭ける勢力もあり、それが急騰と21日の急落につながった。ドルに取って代わる可能性がないことは、米競馬クラシックのケンタッキー・ダービーの馬券と変わらない。

 ドージコインの価格が先週2日間で4倍に上昇したのは、確かに暗号資産が異様に過熱していることの表れだ。だが株式や債券に法外な値がついている証拠ではない。市場のどこかには必ずと言っていいほど過剰な動きがある。市場はそうやって機能するものだ。

 公開市場が素晴らしいのは、ギャンブルしたい人間の願望を利用して、流動性を提供していることだ。すなわち、長期投資家が資金を積み増したり、逆に換金したりする必要が生じると、そこには大抵、喜んで株を売買する誰かがいる。一方で、望ましくない副作用として、ギャンブルが価格を動かし、バブルやモメンタムという形でその企業の真の価値からかけ離れた値づけが行われることも多い。

 ドージコインや、より広範な暗号トークンに対する熱狂はすでにバブルだが、市場のそれ以外の部分には必ずしも意味を持つものではない。株式市場ではトレーダーが無意識のうちに新しい流行に買いを入れ、ミニバブルが頻繁に起きる。2013年には3Dプリンターが一時的に流行し、大手の3Dシステムズは株価が3倍近くに跳ね上がった。2011年には5倍余りに急騰していたレアアース株が暴落した。いずれも市場全体が過熱していたわけではない。同じことがドージコインにも当てはまりそうだ。

 ここで真剣な注釈が必要になる。ドージコインにとどまらないという点だ。それは明らかに、過去1年間さまざまな投機的資産に広がった過剰な動きの波の一部と考えられる。筆者はこの過熱が市場の他の部分で問題を醸成していないことを願うが、間違いなくリスクの一つだ。

 他の暗号資産同様、ドージコインは投機にとって完ぺきだ。規制は最小限しかなく、価格を制限するファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が存在せず、激しく変動する。株価の場合、ギャンブルの本能が押し上げるのはそれ相応の期間のみだ。最終的には企業のファンダメンタルズが明らかとなり、ふさわしい評価基準を提供する。

 昨年はファンダメンタルズが弱く、将来の「ストーリー」(それが起きないことを証明するのが難しい)に賭ける株が大きく飛躍した。一般には株の判断基準になるのは利益だが、ストーリー銘柄は、想像の翼に乗って空高く舞い上がり、厳しいビジネスの現実によって地上に引き戻されるまで飛び続ける――時には飛躍が本物だと確認されるケースもあるが。

 ドージコインには一獲千金を狙う投機筋と「ミーム」(はやりネタ)銘柄に飛びつく冒険好きなレディットの個人トレーダーが絡んでおり、この組み合わせはゲームストップ騒動に似ている。当初、新たなビジネスモデルのストーリーで火が付いたゲームストップ株は、その後ショートスクイーズを起こして空売り筋を追い込み、やがてはレディット上の熱狂も冷めてしまった。

 ここ10年のストーリー銘柄といえば、米電気自動車(EV)大手テスラだ。同社のストーリーは、自動運転EVとクリーンエネルギーという未開拓の巨大市場があり、いずれそれが実現し、高収益を上げるというものだった。

 昨年はライバルに名乗りを上げる企業が続出して一段と熱を帯びた。EV関連に加え、クリーンエネルギー、特別買収目的会社(SPAC)、暗号資産関連、大麻企業などの株が高騰し、軒並み最高値を記録した(見逃し組は残念)。その大半は今年1月~2月に上昇モメンタムが消滅してしまった。

 基本的に、投機的ブームに便乗しないわれわれのような人間がそれによって困ることはない。たとえ記録的な高値圏だとしても、大半の投資家が注目するもの(すなわち旧来型の株式)が、景気回復と低い債券利回りによるファンダメンタルズに十分支えられているとの見方は説得力がある。もちろんこれらのファンダメンタルズが悪化すれば(最近多くの国で新型コロナウイルスが急拡大し、世界経済が弱含んでいるように)、株価は下げ基調となるはずだ。

 危険なのは、ドージコインで浮き彫りになった市場の過熱が、ストーリー銘柄の枠を超えて主流の投資に広がり、いずれフロス(泡)が消えた時、市場の他の部分も急激に冷え込むことだ。もしそうなれば、悪い冗談だ。

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