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Sunday, August 22, 2021

レトロでかわいいニコン「Z fc」は見た目で買っちゃっていい趣味のミラーレス一眼だった - ITmedia

 発表された途端、大きな反響を呼び、予約が殺到したというニコンの「Z fc」。何しろ、見た目からして目立つのである。

「レトロ」で「かわいい」ところがなかなか斬新なNikon Z fc。構えてみると実にコンパクトでいい。レンズキットで15万円前後

 面白いのは両極端の意見がTwitterで飛び交ったこと。

 1つはマニュアル撮影のフィルムカメラを摸したデザインのため、一眼レフ時代を懐かしむ年齢層に受けそうという意見。

 1つは反対に、フィルム時代のクラシックな一眼レフを意識したレトロなデザインに引かれる若年層に受けそうという意見。

 ではニコンはどっちを狙っていたのか。こういう製品を何の狙いもなく出すわけがないわけで、デジタル一眼レフ時代の「Df」は明らかに前者だった。

 対して、Z fcは後者である。

 Z fcの特設サイトのデザインを見るとそれは見てとれる。カメラを手にした感じも「レトロかわいい」ってイメージだ。単にレトロな雰囲気にしたのみならず、各種ダイヤル類もしっかり装備してきたところがまた良いのだ。

 見た目のインパクトはめちゃでかい。

「FM2」をイメージしてデザインされたZ fcの操作感は

 Z fcは往年のフィルム一眼レフ「FM2」をイメージしてデザインされた。

 というので比べてみたい……が、残念ながら手元にFM2がない!

 でもなぜか「FE」がある。FM2は1982年発売(ベースとなったFMは1977年)。FEは1978年発売で、FMとデザインはほぼ同じだが、FMがマニュアル露出オンリーだったのに対し、FEは絞り優先AEができる。

 比較対象としてはFEでも問題なかろう。

 かくして、こうして並べて見ると、確かにめちゃ似てる。ロゴやペンタ部のデザインのみならずダイヤルの雰囲気もそっくり。

 Z fcはレンズが中央近くにあるけど、FEはちょっと向かって右に寄ってるかなというくらいだ。

左がNikon Z fc(2021年)。右がNikon FE(1978年)。確かにすごく似てる。ロゴも同じだし、レンズ脱着ボタンもシャッタースピードダイヤルのデザインも似せてある。これはガチ

 操作部も見てみたい。

 真上から見た図だ。ペンタ部のシボ革感も同じだ。ペンタ部の→にシャッタースピードダイヤル。FEには「AUTO」ポジションがあるが、Z fcにはない。FEはこれを「AUTO」にすることで絞り優先AEに切り替わった。

 Z fcはそれをせず、左肩のダイヤルの撮影モードダイヤルで撮影モードを変える。

 FEの左肩にはISO感度(当時はASAだった)と露出補正がある。Z fcは露出補正ダイヤルを右肩(フィルム巻き上げレバーは不要だしね)に持ってきて、左肩はISO感度ダイヤルのみにした。

上がFE、下がZ fc。フィルム関連の機構以外はすごく似てるのが分かる。シャッタースピードダイアルがペンタ部に食い込んでるのが気になるくらい

 にしてもこれだけ似てると、単なるクラシック風じゃなくて、本気で往年のデザインテイストを復活させたんだなと分かる。

 これだけちゃんとデザインされていたら、欲しくなるわ。

 最近のデジタル一眼は握ったときの安定度を高めるためにグリップが付いてるが、それもなしのフラットな前面ってとこまでこだわってるのだ。

 最近のグリップが付いたカメラを使い慣れてると「真っ平らで指がひっかかるとこなくて心許ない」と感じる……んだけど、10分も使ってたら慣れた。今は「別に問題ないんじゃね」と思ってる。長くて重い望遠レンズを付けてガシガシ撮るなら話は別だけど、Z fcはそういうカメラじゃないのだ。

 しかも、見た目より軽いから指に余計な力も入りづらいし。

 では、実際にカメラを手にしたという体で撮影してみる。

いざ構えてみるとコンパクトで扱いやすい

 上部にはシャッタースピードとISO感度、そして露出補正のダイヤルがあり、絞り値は電子ダイヤルでコントロールする。右肩に付いてる小さな液晶モニターは絞り値を表示するためのものだ。

小さな液晶の窓は絞り値表示用。マニュアル撮影時は上部を見るだけでISO感度もシャッタースピードも絞り値も分かるというデザインだ

 で、ダイヤルがいっぱいあってカチカチと自分で回さねばならないマニュアル機といえばさにあらず。

 撮影モードレバーを「AUTO」にしちゃえば、普通に「フルオート」で使えるのだ。ISO感度もオートになる。フルオート時も露出補正ダイヤルが使えるのはいい(これはオフにもできる)

撮影モードレバーをAUTOにしちゃえばダイヤルがどこにあっても問題なし

 PSAMの各種モード時はISO感度はマニュアル設定固定になる。ISOオートにするにはメニューから「感度自動制御」をオンにしなきゃいけない。

PASM時にISOオートで使うには「感度自動制御」をオンにする必要がある。これはちょっと分かりにくい

 これをオンにしておくと、自動的に上がるのはいいんだけど、あえてスローシャッターで撮りたいときにいちいちオフにしなきゃいけなくて、ちょいと不便を感じる。

 ISO感度にAUTOポジションがあってもよかったかな。

 ただ、Z fcをZ fcっぽく使うなら、感度自動制御はオフにするのがおすすめ。常にISO感度を意識して使うってのもなかなか楽しい。

シャッタースピードを見ながら、このくらいならいけるかなとISO12800まで上げて撮影した牛込見附からの夜景(16-50mm 16mm 1/10秒 F3.5 ISO12800)

 時にはISO感度を高くしたまま忘れてて無駄に高速シャッターで撮っちゃったり、逆にISO100に固定したまま夜になっちゃって手ブレ写真量産したりするのもまたよし。

 そういうのも含めて撮影を楽しむカメラだ。

性能は「Z 50」相当で画質は実によい

 Z fcはAPS-Cサイズセンサーを搭載したZマウントのミラーレス一眼。Zマウント自体がかなりデカいのでレンズを外して正面から見るとちょっとマウントがでかく感じる。

Z fcを正面から。向かってマウントの左下にあるボタンはWBが割り当てられているがカスタマイズ可能だ

 画素数は2088万画素と「Z 50」と同じ。まあ中身はほぼZ 50と思っていいかと思う。ボディ内手ブレ補正を持たないのも同じだ(残念だけど)。

 イマドキデザインのZ 50とクラシックデザインのZ fcって感じ。

 EVFもZ50と同じだ。Z 6やZ 7ほどではないが大きくて見やすい。

 Z 50と違うのは背面モニターだ。Z 50はチルト式だが、Z fcはバリアングル式。

モニターはバリアングル式になった

 バリアングル式にしたこととZ 50よりボディの中央寄りにマウントが設置されたことで、モニターがかなり左寄りになってる。これはちょっと美しくないなあと思う。

 Z fcのデザインでひっかかったのはそこかな。

背面から。モニターが左寄りに位置するのがちょっと気になる

 なので基本的にファインダーをのぞいて撮った方が気持ちよいし、それが似合うデザインだ。

 では撮る。AFはZシリーズなので人物と動物の瞳対応だ。

AUTOモードで。人物を見つけると瞳AFが働く

 逆光気味の人物撮影時はAUTO時とPASM時でカメラ側の振る舞いが変わるので注意が必要。AUTO時は顔を見つけるとそこに露出を合わせてくるがそれ以外の時は全体をみて露出を決める。逆光時に顕著に出るので人をさっと撮りたいときはAUTOがいいし、ちゃんと自分でコントロールしたいときはPASMのいずれかを使うのがいい。

上がAUTOで撮影した時、下が絞り優先AEで撮影した時。どちらも露出補正はなし。まあ逆光時は露出補正を意識すべし、だ

 AUTOで撮ったポートレートがこちら。でも絞り優先AEで露出補正やら絞りやらをうまくコントロールして好みの画作りで撮る方がZ fcらしいかなとは思う。

雨が降っていたので屋根の下でポートレート(なのでどうしても逆光気味になる)。AUTOだとちゃんと顔に露出が合い、発色もきれい。これはよい(16-50mm 36mm 1_125秒 F5.3 ISO560)

 AFエリア指定はちょっと数が多い。オートエリア1つとっても「オートエリア/オートエリア(動物)/オートエリア(人物)」と3パターンあるからだ。

AFエリアはピンポイント、一点、ワイド-S、ワイド-L、オートエリアなんだが、ワイド-Lとオートエリアにはそれぞれ人物・動物の瞳優先があるのだ

 で、「オートエリアAF(動物)」で撮影した猫。レンズはZマウントのMC 50mm f/2.8。50mmのマクロレンズ。軽量で扱いやすいマクロレンズでZ fcでテーブルフォトやペットを撮るときなんかにもいい。

Z fcにMC 50mm f/2.8というマクロレンズを装着。このレンズ、フルサイズ用だけどコンパクトで軽いのでZ fcにつけてテーブルフォトに使うのもいい
動物瞳AFで撮った猫。明るくない室内でシャッタースピードを高めに保ちたかったのでISO4000まで上げたのだけど、このくらいなら全然Okだった(50mm 1/250秒 F3.2 ISO4000)

 さらに、OKボタンをクリックして「ターゲット追尾AFに切り替えることもできる。オートエリアがうまくいかないときは1点AFに切り替えて十字キーなりタッチパネルなりでAF枠を指定するのが一般的だけど、ターゲット追尾AFで狙ったところにフォーカスを合わせられるならその方が簡単で確実だ。AFも速いし。

 50-250mmの軽量望遠ズームで狙った東急世田谷線。行き先表示のLEDがちゃんと写ってないのはシャッタースピードが早すぎたから。まあありがちだが、こういうのはターゲット追尾AFが役立つ。

踏切待ちをしてたらたまたま「招き猫」の車両が来たので思わず望遠で。ターゲット追尾AFでおいつつよい距離にくるのを待って撮影した(50-250mm 69mm 1/1250秒 F4.8 ISO200)

 静止している被写体にピシッと合わせるときはピンポイントAFや1点AFを使うのがいい。

背景に木漏れ日っぽいきらきら感をいれたかったので、逆光で+1 2/3の補正をかけて撮影したアブラゼミ(50-250mm 250mm 1/80秒 F6.3 +1 2/3 ISO800)

 なお、連写はZ 50と同じで最高で約11コマ/秒。そこまで速くはないがガチでスポーツを撮るのでなければ問題なし。

 シャッタースピードは最高で1/4000秒。

 ISO感度は最高でHi2(ISO 204800相当)まで上げられる。

 ダイヤルを見ると、51200まで刻まれており、その上は「Hi1」と「Hi2」だ。Hi1はISO102400、Hi2が204800相当という具合。

 ISO1600からHi2まで撮り比べて部分拡大図を並べたのがこちら。ISO6400まではディテールもけっこう保っていて、ISO25600まではディテールは失われるモノの全体のバランスはなんとか保っていてそれ以上だとかなり荒れるって感じ。

ISO感度をISO1600(左上)からHi2(右下)へと1段ずつ上げながら撮影し、一部を等倍表示したもの。ISO12800までは使えそうな感じだ

 では他の作例も。

 とりあえずいつものガスタンク。レンズは標準ズームの16-50mm F3.5-6.3で。

ちょっと露出は抑え気味だけど、発色やグラデーションはきれい。とても自然でよい写りだ(16-50mm 16mm 1/500秒 F8 ISO100)

 続いて、今話題の新宿の猫。評判を聞いて気になったので、ちょっと見に行ったときに撮影した。

 これ、シャッタースピードが速すぎるとうまくいかないので、シャッタースピード優先にして1/30秒で撮影。

新宿のビルの上に出現する巨大ミケ猫。湾曲ディスプレイを使った3D猫だ。ほんとに立体的にみえるのが面白い(16-50mm 25mm 1/30秒 F11 ISO100)

 料理はオートで。オートだとシャッタースピードがけっこう速めにセットされるのでISO感度は上がりやすい。

かき揚げ丼。店内はちょっと暗め。オートで撮影。予想より感度は上がった(16-50mm 35mm 1/80秒 F5.3 ISO3200)

このボディを見ると昔のレンズをつけてみたくなるよね

 さて、Z fcみたいなクラシックなスタイルのボディを見ると、オールドレンズを付けたら似合いそうだな、と思うのが人情というもの。

 マウントアダプターFTZを介して手元にあったフィルム時代のマニュアルフォーカスレンズ、Nikkor 24mm f/2.8をつけてみた。

色がついた絞り値や往年のカメラで絞り値を連動させるためについてた爪が特徴の古いレンズを付けてみた。1970年代のレンズだ

 マウントアダプターがモダンなデザインなのでそこだけ浮いちゃってる感はあるけど、ボディとレンズの組み合わせは似合う。

 で、団地夜景を撮ってみた。フォーカスを正確に合わせたいときは背面の+ボタンを押して拡大表示するといい。

光条をきれいに出すべくF8まで絞って撮った夜景。手持ちだったのでISO25600で(24mm 1/20秒 F8 -2/3 ISO25600)

 マウントアダプターものをもう1枚。こちらは現役のAFレンズ(AF-S 50mm f/1.8G)で普通にAF撮影したものだ。

手前のじょうろにフォーカスを合わせて街のスナップを撮ってみた。こういうスナップ写真に似合うカメラかと思う(50mm 1/1250秒 F1.8 ISO100)

 そんなわけで、適当にまとめると、Z fcは見た目で買っちゃってOkな撮ってて楽しい趣味のミラーレス一眼といっていい。

 レンズを揃えて超広角から超望遠まで、風景から動きものまでしっかり撮るぞ、というガチ勢には向かないけど、スナップメインで軽くて持ち歩きやすくて見た目がよくて撮ってて楽しいデジタル一眼が欲しいって人には価格も含めてちょうどいい選択肢。性能自体は申し分ないし、ぱっと見ただけで他のミラーレス一眼とは違うって感じはあるから。

 最初見たときは、ここまでレトロな感じにする必要あるん?  と思ったけど、実際に使ってみたら、けっこう使いやすくていいやん、レトロかわいいってアリだなとなった次第。性能がしっかりしてるなら、撮影が楽しいと感じるカメラが一番いいのである。

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