
2018年ごろから登場し始めたサブスクリプションサービスの撤退が相次いだ理由は何か。失敗の要因はどこにあったのか。ビジネスモデルやマネタイズについて研究する兵庫県立大学の川上昌直教授は、耐久消費財などモノ系のサブスクは従来の「リース」から脱却できていないケースがあるという。
川上 昌直(かわかみ まさなお) 氏
兵庫県立大学国際商経学部教授、博士(経営学)
1974年大阪府生まれ。2012年兵庫県立大学教授。専門はビジネスモデル、マネタイズ。著書に『「つながり」の創りかた― 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル』(東洋経済新報社)、『ビジネスモデル思考法』(ダイヤモンド社)など。
サブスク人気とコロナ禍のEC特需は別物
2019年はサブスク元年といわれて数多くのサービスが登場しましたが、撤退も相次ぎました。一方で、withコロナの巣ごもり需要によりヒットしているサブスクサービスもあります。
川上昌直氏(以下、川上氏) 確かにwithコロナで好調となったサービスもありますが、すべてがサブスクとして受け入れられたと単純に考えるのは危険です。外出ができないことによるEC特需によるものも多いと考えています。BtoCのサブスクは、オンラインで受け付けているものがほとんどです。Amazonでものを買うように、単に消費者が定期配送を契約した、という話です。
テレビでも、お肉が毎月届きますとか、お花やお酒が毎週届きますといったサービスが話題になっていましたが、ある意味オムニチャネルが進んでいる小売店と同じ動き方をしていたと見ています。つまり都度購入とあまり変わらない動きだったという認識です。
巣ごもりでサブスク特需が生まれた顕著な事例といえば、やっぱりデジタルでSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)だったと思います。米動画配信大手のネットフリックスは世界の会員が2億人に達したと発表しました。そうしたデジタルのサブスク特需と、モノ系のサブスクは区別して見る必要はあります。ただ、それらモノ系のサブスクを試してもらえる、注目が集まったという意味では、よい時期だったといえます。
現在はうまくいっているサブスクも落とし穴があるかもしれない。特にモノ系は要注意ということでしょうか。
川上氏 そうですね。その背景には、サブスクと言いながら、実は従来の「リース」や「定期券型」のサービスが結構多いことがあります。
リース型のサービスは、継続の拘束力を上げるために、例えば利用期間が3年、5年と決まっています。しかも、その期間が終わると現物はユーザーの手元に残らない。これは耐久消費財に多い形のサービスです。具体例を挙げてしまえば、トヨタ自動車グループの「KINTO」は収益モデル的に完全にリースです。
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