
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックはまだ続いています。
コロナワクチンの普及は既に世界中で始まっており、これにより今年中にパンデミックが収束していく可能性があります。
ただし、コロナワクチンを接種したら、新型コロナウイルスの発症が強く抑えられる一方で、他人への新型コロナウイルスの感染は生じ得ます。
したがって、コロナワクチンの普及と同時に、各国政府によるロックダウンなどの措置がまだ必要です。
このような状況では、製薬を含めたヘルスケアが重要な役割を担うため、世界の株式市場ではヘルスケア銘柄が注目されています。
そのようなヘルスケア企業の一つとして、コロナワクチンの開発と提供に成功したイギリスのグローバル大手製薬企業アストラゼネカが挙げられます。
アストラゼネカはオックスフォード大学と提携して、新たなタイプのワクチンの開発に成功しました。
同社は多くの国から販売の承認を得た後に、提供を開始しています。
しかし、同社のワクチンにはいくらかの問題点が指摘されています。
その中で最も重要な指摘は、南アフリカの新型コロナウイルス変異株には同社のワクチンの効果は非常に低いとデータで示されたことです。
そのコロナワクチンを変異株に合わせてデザインし直すことが可能であるため、それほど大きな問題ではなさそうですが、今後はそれに関する情報をフォローしておいた方が良さそうです。
今回の記事では、アストラゼネカ(NYSE:AZN)とフランスのグローバル大手製薬企業サノフィ(NASDAQ:SNY)の2020年の最新年間業績や、パンデミック対応に関する最新情報について解説していきます。
アストラゼネカ:業績好調でコロナワクチン販売も順調
まずは、アストラゼネカの最新の動向や業績について解説していきます。
アストラゼネカのコロナワクチンの販売は順調だが、変異株には注意が必要
アストラゼネカは様々な国とコロナワクチンの販売契約を結んでおり、ワクチンの販売は現在のところ順調です。
一方で、同社のコロナワクチンに関して様々な問題が指摘されています。
例えば、臨床試験に参加した65歳以上の人々のデータ数が少ないことを根拠に、ドイツなどの一部のEU加盟国はアストラゼネカのコロナワクチンを65歳以上の人々に接種することを禁止しました。
これに対して、イギリス政府とアストラゼネカは反論しました。
コロナワクチンの接種がより多くの人に行われていけば、新たにデータが蓄積されていくため、どちらが正しいかはいずれはっきりするでしょう。
一方で、同社のコロナワクチンは南アフリカ変異株には効果が低いことを示すデータが提示されました。
アストラゼネカは、南アフリカ変異株にも効果が出るように、そのコロナワクチンを改良するとのことです。
アストラゼネカについて
1999年、スウェーデンのアストラABとイギリスのゼネカグループが合併して、アストラゼネカが設立されました。
アストラゼネカの本部はケンブリッジにあります。
オックスフォードにも研究拠点があり、最近はイギリスの大学や研究機関との提携を積極的に進めています。
同社の強みはがんの治療薬で、同社の売り上げの多くを占めます。
売上高で比較した世界の製薬企業ランキングでは12位にランクされています。
アストラゼネカの業績
アストラゼネカの第4 四半期(Q4)の決算報告書は今年の2月11日に発表され、同時に2020年の1年間の業績も公表されました。
年間業績を見ると企業の業績全体を見渡せるので、この記事では2020年の年間業績(FYE: Financial Year End)を2019年の年間業績と比較しながら解説していきます。
同社の決算報告書によれば、2020年の売り上げは2019年のそれより売り上げは伸び、営業利益も上昇しました。
コロナワクチン以外の製品も売り上げに大きく貢献しています。具体的な数字や原因などは以下の通りです。
トータルの売上高:10%増(2020年FYE: 266.1億ドル、2019年FYE: 243.8億ドル)
営業利益:81%増(2020年FYE: 51.6億ドル、2019年FYE: 29.2億ドル)
主に、新しいがん治療薬の好調な売り上げが、2020年の売り上げに大きく貢献しました。
ちなみに、この決算にはアストラゼネカのコロナワクチンの売り上げは含まれていません。
これは今年の第1四半期(Q1, 2021)に反映されます。
サノフィ:業績好調でコロナワクチンは開発中
次に、フランスの大手製薬企業サノフィの最新情報について解説していきます。
サノフィのコロナワクチンは開発中
サノフィは、GSKやTranslate Bioと提携してコロナワクチンを開発中で、今年の2月中に臨床試験のフェーズ2に移行する予定です。
順調に進めば、今年の後半に提供可能になります。
このように、同社のコロナワクチンの開発は比較的遅れています。
しかし、現在市場に出回っているコロナワクチンが、今後さらに発生し得る新型コロナウイルス変異株に対して効果がないことが判明する可能性は十分考えられます。
遅れをとった故に、サノフィはその変異株に対して適応しやすい状態である上に、様々なコロナワクチンがあれば様々な変異株に対応することが可能となります。
したがって、コロナワクチン開発の遅れについて悲観的に解釈する必要はないでしょう。
サノフィ:フランスのグローバル大手製薬企業
サノフィはフランスのグローバル大手製薬企業であり、治療薬とワクチンの製造・販売を行なっています。
売り上げの70%以上はヨーロッパ以外の国から得ており、やはり米国市場で最も多くの売り上げを得ています(約38%の売り上げを占める)。
売上高で比較した2019年の製薬企業世界ランキングでは6位にランクされています。
サノフィの業績は好調
サノフィの第4 四半期(Q4)と2020年の1年間の決算報告書は、今年の2月5日に公表されました。
ここでも年間の業績(FYE)で見ていきます。
2020年の売り上げと営業利益ともに好調でした。以下に詳しく説明します。
売上高:0.2%減(2020年FYE: 360億ユーロ、2019年FYE: 361.2億ユーロ)
*ただし為替レートを考慮した補正を行うと3.3%増
営業利益:4.4%増(2020年FYE: 97.6億ユーロ、2019年FYE: 93.4億ユーロ)
*ただし為替レートを考慮した補正を行うと9.7%増
アレルギー性疾患の治療薬であるDupixentやインフルエンザのワクチンの売り上げが、同社の売り上げに大きく貢献しました。
今後の重要なポイントはやはりコロナワクチン
アストラゼネカとサノフィについて解説しました。
世界の株式市場だけでなく、両社の株価もコロナワクチンの状況の影響を強く受けているようです。
したがって、今後のアストラゼネカとサノフィの株価を見ていく上で重要なポイントはコロナワクチンです。
アストラゼネカのコロナワクチンの販売状況は順調ですが、重要な点は同社が先述したような問題にどのように対応していくかということです。
一方で、サノフィはまだコロナワクチンを開発中です。
このコロナワクチンは臨床試験段階に進んでいるとはいえ、失敗する可能性はまだ十分あります。
そうなった場合、サノフィの株価は大きく下落するでしょう。
しかし、同社の業績はそもそも良好なので、その場合は一時的な下落と見て、その時点でサノフィ銘柄を購入するのがよさそうです。
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