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Tuesday, December 15, 2020

大ヒット『天穂のサクナヒメ』“ガチすぎる”稲作は「加減わからず」、インディーズだから貫けたゲーム開発の信念:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞

 先月12日に発売された“稲を育てて強くなる”和風アクションRPGゲーム『天穂のサクナヒメ』(PS4、Nintendo Switch、Steam)の出荷本数が50万部を突破、パッケージ版は売り切れ続出で“米騒動”と言われるほど話題となった。発売時にはノーマークだったゲーマーも多い中、SNSでの話題のきっかけとなったのは「稲作パート」。田起こし、田植え、育成、刈り取りと11工程を網羅しており「農業パートがガチ過ぎ」「農林水産省の公式HPが実質的な攻略wiki」などの声が続出した。そんな異例の“稲作ゲーム”の開発の裏側や、 “インディーズゲーム”の強みについてなど、『天穂のサクナヒメ』を手がけた同人ゲームサークル「えーでるわいす」のこいちさんに話を聞いた

【プレイ画面】“田起こし”も“合鴨農法”も…稲作の工程が「ガチすぎる」、稲作パートを公開

■一生このレベルのヒットはないかもしれないし、これからも受け止め切れないかも

――『天穂のサクナヒメ』への反響、どのように受け止めていますか?

【こいちさん】 受け止め切れていないのが正直なところです(笑)。まだ代表のなるが不具合修正の作業をやっているということもあって、実感が持てる段階ではないですね。もしかしたらこの先、一生このレベルのヒットはないかもしれないですし、これからも受け止め切れないのかもしれないですが(笑)。

――(笑)。発売後、話題になるにつれて開発のコアメンバーが2名ということにも驚きの声が上がっていました。「えーでるわいす」はどういったサークルなのでしょうか。

【こいちさん】 えーでるわいすは2004年頃にコミケで活動するにあたって作られたサークルです。どちらかというと狭いターゲットに対してニッチなものを作っていて、過去作はシューティングゲームやアクションゲームなどを作っていました。今は代表でプログラム担当のなるとグラフィック担当の私の2人がコアメンバーです。

――今作『天穂のサクナヒメ』開発の経緯は?

【こいちさん】 前作の『アスタブリード』っていうシューティングゲームがそれなりに売れまして、その元手を使って作ってみようとなったのかきっかけです。そこで、やりきれてないことが色々あった『花咲か妖精フリージア』の続編にあたる形で、本作の『天穂のサクナヒメ』を作り始めることになりました。

――アクションRPGの中に稲作を取り入れようと思ったのはなぜでしょうか?

【こいちさん】 元々、村を発展させて村がどんどん大きくなっていくことで主人公が強くなるというものを考えていたんです。ただ検討を進めるうちにやりたいコンセプトと違うんじゃないかと。村づくりとなると、プレイヤーはどうしても物事を俯瞰的に見るような立場になります。でも今回やりたいのは、人に指示をして何かをするというよりは当事者感覚のあるもの。何か一つの作物に絞って自分自身が動いた方がいいのではないかとなりました。和風の世界観というのが先に決まっていたので「何か一つの作物に絞って農業をやってみるならお米しかなかろう」という流れです。

■本職も認めた稲作パートは“監修なし”、実際にベランダでお米を育てて開発の参考に

――『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の稲作企画や、「農林水産省」の稲作の手引きなどが役に立つと話題になりました。どの程度、専門的に掘り下げたのでしょうか。

【こいちさん】 基本的には、ゲーム開発のために必要な分だけというイメージではあったんです。ただ、自分たちにとっても未知のものだったので加減がわからなくて(笑)。「ゲームに入れるところはなるべく知らないとまずい」というところから、本業の方が読むような書籍であるとか、そういうものをあたるしかなかったという感じですね。監修もできれば入れたかったんですけど、探し方がわからず…(笑)。

――意外な理由でした(笑)。監修は無しで、実際に稲作もしてみたそうですね。

【こいちさん】 当時JAから配布されていたバケツ稲づくりセットを取り寄せました。本当は田んぼを借りるべきでしたが(笑)、自分たちで一連の流れを体験して「稲っていうのはこういう作業を経て収穫されていくんだな」と驚きがありましたね。見た目は特に参考にしていて「この時期こういう形や色になるんだな」と。あとは、今どういう生育段階で、どんなことが起こっているのかは、本ではなく実際に確かめられたのは大きかったです。でも本職の農家の方からみてどう映るのかと不安はずっとありましたね。

――実際に試してみてもやはり不安だった、と。

【こいちさん】 はい。あと開発中よく話していたのが、全部スキップできるようにするのかどうかという議論でした。ゲーム開発的には「最初は物珍しくても、これはきっと飽きるだろう」というのが普通の考え方なんです。でも、本職の農家の方々はスキップなんて言っていられないので、ゲームとして飽きられない工夫を考えていましたね。

――結果的には農家の方からも好評で、何年も試行錯誤を重ねて美味しいお米を作るプレイヤーもいますよね。子どもにとっても良い教育になるという声もありました。

【こいちさん】 ありがたいですね。もっと怒られるんじゃないかと思っていたので(笑)。本職の方に褒めていただけたのはすごく嬉しいですし、それこそ、まさか“小さいお子さんからその親御さんまで”は全く想定していなかったです。

■プレイヤーの着眼点に驚き「みんなもっと不真面目だと思っていた」

――そして、こいちさん、なるさんのTwitterを拝見すると、プレイヤーの着眼点に驚くような投稿もあります。

【こいちさん】 田んぼへの向き合い方が想像を超えていたというか…すごく悪い言い方をしてしまうと、みんなもっと不真面目だと思っていたんです(笑)。ゲーム全体の30~50%くらい頑張ればクリアできるように作ってあるのですが「あぁ、ほんとにユーザーさんって勤勉だな」と思いましたね。失敗を恐れずに気軽にやってみて、もう一歩踏み込みたいってなったときに情報を探すくらいでも楽しんでいただけるのではないかと思います。

――一方で、本作は稲作パートの他に、アクション、ストーリーなど様々な要素がクロスしています。それらのバランスはどのように考えていましたか?

【こいちさん】 最初は各要素がかみ合わない期間が長く続きました。稲作だけやってしまって、アクションゲームが進まないとか、逆にアクションだけをどんどん進めて稲作をしないとか(笑)。稲作のスケジュールに合わせて作りすぎたせいでストーリーとうまくかみ合わないこともありましたね。「このままではまずいな」と、2年くらい前にある程度それぞれの連動を感じられるように整理しました。アクションと稲作が「どちらも必要」と言ってもらえる状態をベストに、それぞれ楽しみどころをちゃんと作った感じです。

――キャラクターに関しても多くのSNSユーザーが自作のイラストを投稿して楽しんでいますね。作品人気にキャラクターの魅力も大きいのではないしょうか。

【こいちさん】 そこは非常に大きいですね。今作は農作業も手伝う動物の絵が肝になると思ったので、それが得意なイラストレーターの村山竜大さんにお願いしました。動物キャラだけではなく、もう、本当にありとあらゆるデザインに対して、こちらが求めた最高以上のものを常に出していただけまして…村山さんなしでは成り立たないくらいです。「絵がこうなら、じゃあ内容はこうしよう!」と、いい化学反応でした。

■会社を独立したのに「会社みたいな作り方をするのはどうなの?」

――今回、インディーズのゲームが名作シリーズとランキングで肩を並べる形となりました。インディーズもクオリティの高いものが出せるようになった実感はありますか?

【こいちさん】 プレイヤーの皆さんの大半はインディーズかどうかを気にしていないと思いますが、開発側としては昔よりもクオリティを出しやすいのは確かですね。大手のゲームエンジンも使えますし、今は優れた書籍がたくさん出ていて、YouTubeだけでも相当なところまで学べます。ただ、僕らはもともとほかのゲーム会社に所属していたので、ある程度の経験は必要だなとは思います。僕は背景デザイナーやアートディレクターをしていて、なるさんは格闘ゲームとかアクションゲームのプログラマーをやっていたんです。その上で始めているので全くの未経験の方よりはずっとノウハウを持った状態で始められていたかと思います。

――ゲーム会社と独立後を比べて、それぞれの利点や課題はどのような部分でしょうか。

【こいちさん】 目標設定が一番大きいですね。会社の場合は偉い人が決めてくれるので、それをどう実現するのかっていうところからスタートできるんです。でもインディーズの場合は目標に責任を持たなければいけないのが大きな違いだと思います。会社では炎上したプロジェクトをまとめていたはずの自分が、今は無茶な目標を立てちゃうみたいな(笑)。「やりたい」と言えばやることになってしまう。そこが楽しいところでもあり恐ろしいところでもあります。

――特に開発費用の面は苦労が多いのではないでしょうか。「やりたいこと」と「費用」はどのように折り合いつけていますか?

【こいちさん】 会社の場合はどうしても「リリーススケジュールがずらせない」とか、「ここからここまでの要素はもう全部切ってリリースするよ」となります。今作もそういう話し合いはもちろんあったんですけど、会社を独立して始めたのに「会社みたいな作り方をするのはどうなの?」と。前の会社の人たちからも「あの人たちなんで辞めたの?」と言われかねない(笑)。後半にはもう資金が底をついてきたのですが「自分たちが納得できるまで、頭を下げてお金を借りてでも完成させよう」という感じで進めました。

――そんな苦労があったんですね。一方で、今回これだけ話題になって「会社に所属しなくても大ヒットゲームが作れる」と夢のある話にも見えますが…。

【こいちさん】 難しいところですね。僕らは、今回たまたま大ヒットといえる成果を出せたのですが、最初からここを目指さない方がいいと思うんです。えーでるわいすとしても今回、通算6作品目。会社で覚えたノウハウや経歴もたくさんあります。インディとして何か大きな成果を出したい人はやっぱり、手に負えることから着実にやっていくのが一番だと思います。

――地道なことが重なっていった結果ですね。そして次回作への期待値が相当高まっているかと思いますが、今後のご予定はいかがですか?

【こいちさん】 まだ不具合対応に追われているっていうのもあって、その辺の話は来年からしっかり考えていこうかなと思っています。ただ、今のチームはそんなに規模が大きくないからこそできることがたくさんあります。どんどん拡大していくというよりは、自分たちが維持しなきゃいけないスタイルで考えていきたいですね。マックスでも今回くらいの規模になるんじゃないかなと思います。

――えーでるわいすの維持していきたいスタイルとは?

【こいちさん】 自分たちが納得してリリースするっていうところですね。ゲームの面白さについて「やるだけやったと言えないと、リリースすべきではない」という姿勢は崩さないでいたいと思います。

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