指導者となって熊本に帰ってきた教え子たちは、母校である大津高校によく顔を出します。練習試合だったり、練習の見学だったり、形はさまざまですが、まだ私から多くのことを学ぼうとしてくれます。
私は当然、彼らのふだんの指導に役立つようなアドバイスやヒントを与えることになるのですが、そうした「出す(アウトプット)」作業をすると、自分自身も新たな知識や理論を「入れる(インプット)」作業をしなくては、という気持ちになってきます。
それを継続することによって、私自身が新たな成長を遂げ、今のチームや教え子たちも同様に進化していくはずです。
私は「良い生徒、選手をつくるためには、まず良い指導者をつくらなければならない」と思っています。その、人を育てるところには情熱が最も大事だということを言葉ではなく自分自身の行動や態度で示すことが一番でしょう。指導者が持つ情熱の“温度”で、子供たち一人一人が変わり、結果として集団が変化するということを肌で感じてもらえれば、全員とは言いませんが、何人かの教え子たちが良い指導者に育ってくれると考えています。
実際に現在県内の中学、高校で指導している私の教え子たちは、みんな情熱的です。彼らが質の高い指導を行うことで、大津高校だけでなく、県内の各高校に多くの優秀な選手が進学し、それぞれの学校のレベルが上がる。さらに、お互いの切磋琢磨[せっさたくま]で県のレベルも上がっていくことになると思います。
教え子たちが指揮するチームは、大津高校のコピーではありません。彼らの目標は「打倒・大津」。コピーでは目標が達成できないことを彼らは十分に理解しています。彼らは私が送ったアドバイスを自分のフィルターを通して咀嚼[そしゃく]し、それぞれの環境にあったものに変換し、私が思いつかないような新たな指導法を生み出していくのです。
私が熊本に帰って指導を始めたころに比べると、熊本のサッカーのレベルは平均値だけではなく天井もずいぶんと高くなっていると感じています。全国大会の抽選会などでも「1回戦から熊本県勢とは当たりたくない」という言葉をよく聞きます。他県の指導者も熊本のレベルアップを認めているのです。もっとも、それによって、やっかいなライバルが増えて私はずいぶんと戦いづらくなったわけですが…。私もまた成長しないと教え子たちに対抗できません。
からの記事と詳細 ( (38)教え子たちとも切磋琢磨 - 熊本日日新聞 )
https://ift.tt/38H661I
No comments:
Post a Comment